サセルドテッサたちが最初にモンテ・ヴェリタに来たのがいつなのかは知られていない。
誰も彼女たちを見たことがない。
ヒッチコック映画「レベッカ」や「鳥」の原作者としても知られるダフネ・デュ・モーリア(1907-1989)。
今回は、その「鳥」を含め8つの作品が収録されているこちらの傑作集より、夢子が特に印象に残っている物語「モンテ・ヴェリタ」についてです。
ちなみに夢子的にデュ・モーリアの作品にハズレなし!大好きな作家の一人です。
以前にも書きましたが、彼女の作品って基本的にどこか不穏な空気が漂っている・・・のですが、でもどこか幻想的でロマンチックなものを感じるんですよね。
今回の「モンテ・ヴェリタ」もそんな不思議で幻想的な物語・・・巻末で解説をされている千街晶之さんのお言葉を借りるならば、まさに「神品」です!
ちなみに、、、余談ですが、先日観に行った「ピクニック at ハンギング・ロック」。
夢子、この映画を観た時に、今回の「モンテ・ヴェリタ」を思い出したんですよね。
共通点は、そう「女性が山で消える」。
「モンテ・ヴェリタ」ってどんなストーリー?
【あらすじ】
ヨーロッパのある地方にモンテ・ヴェリタと呼ばれる山がある。
その山の頂きに佇む謎の僧院。
そこで暮らす”サセルドテッサ”と呼ばれる人々は決して年を取らず、永遠に若く美しいままなのだと言う・・・。
その神秘的な力に引き寄せられた女性たちは、二度と下界には戻って来ない・・・。
【主な登場人物】
「わたし」
本作の語り手の男性。
齢70歳に近づいた今日、若かりし頃に起きた↓*モンテ・ヴェリタでの不思議な出来事を思い返す。
*旧友ヴィクターの妻であるアンナに惹かれ心の奥深くで彼女と繋がっている「わたし」。
アンナがいるその世界”モンテ・ヴェリタ”に足を踏み入れることができたが、、、そこで彼がみたものとは?
ヴィクター
アンナの夫。「わたし」とは少年時代からの友人。
アンナを心から愛しているものの彼女と同じ世界に行くことができず苦しむ。
アンナ
若く美しい女性。物静かでどこか不思議なところがある。
夫のヴィクターと登山に出かけた”モンテ・ヴェリタ”で突然ひとり姿を消す。
↑と言う感じで、”モンテ・ヴェリタ”に消えた女性とその夫、そして本作の語り手である夫の旧友「わたし」、この3人をめぐる物語です。
そしてここに、遠い昔から”モンテ・ヴェリタ”に妻や娘を奪われて来た麓の村人(男性)たちも巻き込み物語は進んでいきます。
モンテ・ヴェリタとは一体何なのか・・・天国?異界?それとも・・・?
そしてサセルドテッサとは何者なのか・・・性別のない人間?それとも・・・?
巻末の解説で、デュ・モーリアの短編の中でも一、二を争う傑作と評されていますが、、、本当に短編とは思えないほどの読み応えです!
幻想的で不思議な物語が好きな方には是非おすすめです。
(「鳥」をはじめ、他の作品も面白いですよ♪