いま見てはいけない〜デュ・モーリア傑作集〜

今回はヒッチコック映画「レベッカ」、「鳥」の原作者として知られるダフネ・デュ・モーリアの傑作集いま見てはいけない」です。

タイトルにもなっている”いま見てはいけない”を含め、5つの作品が収録されています。
うーん、なんだか意味深なタイトル。


作品紹介

ヴェネチアで不思議な老姉妹に出会ったことに始まる夫婦の奇妙な体験、映画『赤い影』の原作「いま見てはいけない」、父の死の謎を解くために父の旧友を訪ねた娘が知った真相「ボーダーライン」、代理でエルサレムへのツアーの引率役を務めることになった聖職者に降りかかる出来事「十字架の道」など、日常を歪める不条理あり、意外な結末あり、天性の語り手である著者の才能を遺憾なく発揮した作品五編を収める粒選りの短編集。

【目次】
「いま見てはいけない」
「真夜中になる前に」
「ボーダーライン」
「十字架の道」
「第六の力」

https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488206048

今回は、夢子が特に印象に残った作品「いま見てはいけない」についての感想を。

「いま見ては〜」は、水の都ヴェネチアを旅する夫婦が不思議な双子の老姉妹に出会ったことで起こる奇妙な体験を描いた物語。

幼い娘を亡くした夫婦(特に妻の方は精神的に不安定)、偶然出会った双子の老夫婦(姉の方は盲目で霊感があると言う)、そして旅先で起こる殺人事件・・・という設定でストーリーは進むのですが、終始不穏な雰囲気と緊張感が漂っていてドキドキしながらページをめくりました。

盲目の双子の姉は夫婦に言うのです。「あなたたちの間に小さい女の子が見えると」。
それを聞き喜ぶ妻と、でらためだと憤慨する夫・・・果たして真実は?

短編とは思えない読み応え、さすがデュ・モーリア!
ラストは「えええ!!!」と衝撃的です。

隠れた名作?〜映画「赤い影」〜

そして原作が面白かったので、映画化された作品「赤い影」も観てみました。

イギリスの考古学者ジョン(サザーランド)は妻のローラ(クリスティ)と訪れたベニスで盲目の霊媒師と出会い、事故で失ったばかりの娘の溺死体の幻影を見る。謎の真相の糸をたぐりに、霊媒師を通じて娘とコンタクトを取り、意外な事実に突き当たる二人・・・。

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ヴェネチアが舞台なので、街並みが素敵~♪ロマンチック~♡
と言いたいところですが・・・全体的にどんよりしていて、いかにも何か起きそう!そして出てくる人がみんな怪しい!笑
(強いて乙女ちっくぽいところをあげるならば、奥さん役のジュリー・クリスティが美しく、魅力的。そして衣装もおしゃれでした)

タイトルにもなっている「赤」色が効果的に使われていて、色んな場面で登場するのですが、それがすごく不気味。
原作読んで結末は分かっているものの、映像だと更に「ええええええ!」となりました。

ちなみにこの映画、私は今回観るまで全然知らなかったのですが、「制作国イギリスでは非常に人気が高く、英国映画業界人が選ぶイギリス映画ベスト100で1位に選ばれるなど、イギリスではミステリー映画の名作として有名」なんだそうですよ。(wikipedia”赤い影”より)

隠れた(隠れてないかも)名作だったんですね。
好みが分かれそうな映画ですが・・・いかがでしょうか?

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