今回は、日本版”不思議の国のアリス”?!
そんな異世界に迷い込んでしまったようなちょっと不思議なお話「西班牙犬の家」です。
ちなみに「西班牙」って読めますか?・・・これで「スペイン」って読むそうですよ!夢子は読めませんでした・・・。
作品紹介
【作品名】
西班牙犬の家(1917年)
【作者】
佐藤 春夫(1892-1964)
【あらすじ】
ある日、相棒(愛犬)フラテの案内に任せ散歩に出かけた私。
たどり着いた先は、見知らぬ町の雑木林奥深くに佇む不思議な西洋風の家。
中を覗き込むと、つい先ほどまで人がいたと思われる形跡・・・吸いかけの煙草の煙と真っ黒な西班牙犬が。
私は決心する。
「この家の中に入って行こう」と・・・。
*こちらの小説は8つの物語からなる短編集となりますが、今回はその中でも夢子が特に好きな「西班牙犬の家」を抜粋しました。
おすすめポイント
表紙にも書いてあるように、まさしく「夢見心地になることの好きな人々のための」物語。
一瞬でその世界に引き込まれ、次の瞬間には何もなかったように颯爽と消え去る、、、そんな作品です。
特筆すべきは、わずか6,000字で異世界へ連れて行ってくれること!
夢を見るのに時間は必要ないのかも
そして、「異世界にトリップ」という乙女チックを盛り上げる?定番の展開は、『不思議の国のアリス』をイメージしてしまいます。
アリスの日本での最初の翻訳が1908年らしいので、佐藤春夫がそれを読んでいるかどうかはわかりません。
作中にもリップヴアンウインクルと出てきたり、いくつか先行テキストもあるようですが、純粋に別のモチーフがあるんだろうな。
「リップヴアンウインクル」とは、アメリカ最初期(1819〜1820年に刊行)の短編小説の一つだそうで・・・↓
アメリカの小説家ワシントン・アーヴィングによる短編小説であり、作中の主人公の名前でもある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%BB%E3%83%B4%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%AF%E3%83%AB
猟に出た主人公リップが山中で奇妙なオランダ人の一団に酒をふるまわれて寝込んでしまい、目を覚まして山を下りると20年も経っていて、世の中がすっかり変わってしまっていたという話。
これまた夢子の好きそうなストーリー!(っていうか、あれ?浦島太郎???)
世の中には、まだまだこの類の話は埋もれているんだな、と勝手にワクワクしてしまう夢子です。
まとめ
佐藤春夫は、なんでも書けてしまう非常に器用肌の作家で当時から芸術至上主義的な傾向の作品も多いようですが、次第にその傾向は強まっていったように思います。
夢子は、暇があったら夢見心地になれる物語を探しているのですが、実はこの本「岩波文庫」が、なかなか手に入らなかった、、、本屋さんに行くたびに探してみるものの、全然ない!
そんな時、ふらっと入った高田馬場の古本屋さんで偶然見つけたのです。(この時↓)
本との出会いって、一期一会ですよね。
アリスもそうだけど、「怖いもの見たさ」って、=「好奇心」なわけで、意外と乙女に繋がる鍵なのかも?
「生」と「死」の狭間や人間が足を踏み入れることのできない場所って、怖いけどちょっと覗いてみたい不思議で幻想的な世界だったりしますよね。
まるで夢を見ていたかのような気分になる本作品。
なかなか手に入れることが難しい(かもしれない)一冊ですが、興味のある方は青空文庫でも読むことができるので、、、ぜひ♪
https://www.aozora.gr.jp/cards/001763/files/58540_62557.html
最後に・・・果たして西班牙犬の正体とは一体なんだったのでしょう・・・?