今回は、2021年にNetflixで映画化もされた小説「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」です。
古いサスペンス映画やフィルム・ノワールなどの映画愛に満ちた作品なんですよ。
作品紹介
【作品名】
ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ(2018年)
<原題:The Woman in the Window>
【作者】
A・J・フィン(1979-)
【あらすじ】
精神分析医のアナ・フォックスはニューヨークの高級住宅街の自宅に独りこもって暮らしている。
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夫と幼い娘とは離れ、広場恐怖症のせいで外には一歩たりも出られない。
つらい日々のなぐさめは、古い映画、酒、薬、そして隣近所を覗き見ること。
あるときアナは新しく引っ越してきたラッセル家の妻が刺される現場を目撃する。
だが、彼女の言葉を信じるものはなく……
おすすめポイント
①主人公はやさぐれた映画マニア
主人公アナの辛い日々を慰めてくれるのが”古い映画、酒、そして隣近所を覗き見すること“
・・・って、こんな主人公見たことない?!
アナは精神科医。
彼女は、あるトラウマから酒や薬(精神安定剤)に溺れていて、意識がはっきりしていないことが多いんです。
だから、「彼女が実際に見たという“殺人事件“が本当に起こったことなのか?それとも、”妄想“なのか?」が終盤まで分からないのです。
二転三転する展開もあって、私は思いっきり翻弄されました。
②まるで映画のガイドブックのよう?
窓越しの覗き見により殺人を目撃した主人公アナの設定は、ヒッチコック監督作品「裏窓」(1954)そのもの。
そして彼女が作中、引き合いに出す映画はヒッチコック作品を中心とした名作ばかり!
本の巻末には、作中に出てきた映画のリストがついているので、読了後、ガイドブック的に映画を観てみるのも楽しいかも♪
私は、「裏窓」「めまい」「ガス灯」「スターウォーズ」を観直しました!
(なぜにスターウォーズ?と思った方は、ぜひ小説を!)
③主人公の再生物語
投げやりに生きているアナ。
”事件”を追いかけているうちに現実を突きつけられることに・・・ラストは希望の光。
アナが”事件“を究明しようと孤軍奮闘していく中で、彼女のトラウマも明かされていきます。
“事件”は解決するのだけれど、自身の問題はすぐに無くなるものではない。
それでもちょっとずつ、一歩ずつ「生きていこう」とするアナの姿勢にグッとくるものが。
現実から目を背け、物理的、精神的にも引きこもっていた女性の再生物語という雰囲気も感じました。
まとめ
終盤の「死にたくないなら、生きることを始めるしかない。」という言葉が印象的・・・切ないながらも力強い。
スティーブン・キングが「一気読み必死」と絶賛したこの小説は、冒頭にも書いたように2021年にNetflixで映画化もされています。
キャストは主演のエイミー・アダムスをはじめ、ゲイリー・オールドマンにジュリアン・ムーアに・・・と大変豪華!
広場恐怖症のため外に出られないアナ。そのため物語はほぼほぼ室内で展開されていきます。
「家」という閉ざされた空間でどのように事件が繰り広げられていくのかも見どころです!