突然ですが。
もし本の中の登場人物に出会えるとしたら、誰に会ってみたいですか?
夢子だったら・・・
怖いけど、カーミラとか、エドガー&アランとかかしら♪(血は吸われたくない)
そんな夢のようなことが実際起きちゃうのが今回の「キャクストン施設図書館」
〜Story〜
読書好きのバージャー氏が発見した〈キャクストン私設図書館&書物保管庫〉。
初版本と手稿本を所蔵するその古びた図書館には、人々に広く知れ渡ったがゆえに“実体化”した物語の登場人物が住んでいた。
アンナ・カレーニナ、オリヴァー・ツイスト、ハムレットなどが暮らす図書館の秘密を知ったバージャー氏が起こした、とんでもない事件とは……。
引用元:東京創元社公式サイトより
物語は、作家志望の主人公バージャーが、”どこかで見たことあるような気がする”女性に出会い(目撃し)、その女性を探し回るところから始まります。
たどり着いた先は、「キャクストン私設図書館&書物保管庫」という文字の書かれた、人けのない怪しい赤レンガ造りの建物。
なんとそこでは、アンナ・カレーニナや、ドラキュラ伯爵、かのシャーロック・ホームズなどなど、小説の中の登場人物たちが実在化し暮らしていると言うのです。
ちなみに、主人公バージャーが出会った(目撃した)”どこかで見たことあるような気がする”女性の正体はアンナ・カレーニナ!
彼は小説を通し既に彼女に会った(読んだ)ことがあったので、彼女を見かけた時にどこかで見たことのあるような気がしたんですね。
※アンナ・カレーニナはある事情があり図書館の外の世界にも出没しています。
なんともワクワクする世界観!
”やたら告白する”というハムレットや、”プール付きの部屋に住む”ギャッツビーなど、ちょっとクスッとくる登場人物たち♪
作家志望なだけあり大変な読書家でもある主人公バージャー。
作中人物とその作品の内容に些か意見を持っていた彼は、気に入らない小説のストーリーを自分好みに変えたいという欲望が芽生えてしまい・・・
そんなバージャーが起こしたとんでもない事件とは、はたして登場人物たちの運命は・・・?!
作者のジョン・コナリーは日本ではまだまだなじみが薄い?ようですが、海外においては米国のエドガー賞など数々の賞を受賞しているミステリーや超常現象小説のベストセラー作家なんだそう。
日本でも記憶に新しいところでは、映画『君たちはどう生きるか』で宮﨑駿監督が作品のモチーフとして影響受けたのではないかと言われている本がジョン・コナリー作の『失われたものたちの本』です。(こちらもぜひ!)
最後に・・・
余談ですが、本作で主人公バージャーがキャクストン私設図書館に辿り着くきっかけとなった女性がアンナ・カレーニナなのはなぜなのかしら。
偶然見かけたのが”ウサギを追いかける少女”=”不思議の国のアリス”ではなく、あえてアンナ・カレーニナ(しかも目撃したシチュエーションが結構シュール)にしたところに、勝手にジョン・コナリーらしさを感じている夢子です。
本書は、「キャクストン私設図書館」をはじめ、「失われたものたちの本」のスピンオフ作品や、触れた者に次々と怪奇現象が起きる奇書をめぐる物語など全4作が収録されています。
気楽にさらっと読める短編「キャクストン〜」とは打って変わり、ダークファンタジー(ホラー?)色が強く毎夜ベッドの中で怖々読み進めた奇書をめぐる物語などなど。(先が気になってページを捲る手が止まらない!)
一冊で、いろんな「不思議な世界」に迷い込めちゃいますよ♪