砂男

子供の頃たまたまテレビ(多分NHK)で見たバレエ「コッペリア」。

あれはどこのバレエ団だったのだろう・・・無表情の美しい外国人の女性が踊る”コッペリア”は本当の人形に見え、なんとなく不気味さを感じた夢子。

今回は、そんなバレエ演目「コッペリア」の原作とされるホフマン作の「砂男」です。
(ちなみにホフマンといえば「くるみ割り人形」。こちらも大好きな作品です♪)



原作と言っても名ばかり?コミカル&ハッピーエンドのバレエ「コッペリア」とは真逆、終始不穏な空気が漂う物語です・・・。(でも好き!)

↓光文社の帯にも書かれているように、この本は大人が読んでも面白いです。

夢子的に一言で表すならば「大人の御伽話」!

作品名

作者

あらすじ

子どもがベッドに入りたがらないと、そいつがやってきて、両手いっぱいの砂をその子の目に投げつけるんですよ。

すると眼ん玉が血だらけになって飛び出すから、それを袋に入れて半げつにある住みかにもってかえって、
自分のこどもたちの餌にする。
引用元;光文社「砂男」より

主人公ナタナエルは、子どもの頃母親から聞かされた「夜更かしをすると現れ、目を奪っていく」という”砂男”の存在に恐怖を抱きながら生きています。

やがてその砂男の正体は、父と夜な夜な謎の実験を繰り返していた老弁護士コッペリウスの姿にかさなっていきます。

そしてある日実験のさなかで大きな爆発音とともに父は亡くなり、コッぺリウスは忽然と姿を消してしまいます。

大学生となり家族や恋人のクララと離れて暮らすナタナエルのもとに、ある日、晴雨計売りのコッポラという男が現れます。

大人になった今でも、砂男の存在に怯えて暮らす彼は、次第に”コッポラ”と”コッペリウス”は同一人物なのではないか、コッペリウス(砂男)が自分を探しにやってきたのではないかという妄想に取り憑かれ、だんだんと人が変わったようになっていきます。




ここから先はネタバレ有なのでご注意を!

そんな心理状況の中、休暇で実家に帰省したナタリエルは色々騒動を起こしてしまいますが、恋人のクララや親友ロータル(クララの兄)のおかげで正気に戻るのでした。

休暇が終わり下宿先に戻ったものの、火事に巻き込まれ別の寄宿先を探すことに、、、そんな彼の新たな住居となったのは、たまたまスパランツァーニ教授(自分の大学の教授)の向かいの建物にある部屋。

その住まいにまたしても晴雨計売りのコッポラが現れるのです。
コッポラへの恐怖心から望遠鏡を買わされてしまうのですが、その望遠鏡で覗いた先には・・・スパランツァーニ教授の娘「オリンピア」の姿が。

美しいオリンピアを眺めているうちにナタナエルは激しい思いを寄せるようになり、その愛情は次第に狂気じみていきます。

しかし、このオリンピアはじつは彼女は見事に組み立てられた機械人形だったのです!

オリンピアの死人のように蒼ざめた顔には目がなく、あるのはくろぐろとした穴だけだった。
彼女はいのちのない人形だったのだ。
引用元;光文社「砂男」より

そして衝撃の結末へ・・・

この一件から再び精神不安定になっていたナタナエルでしたが、、、またしてもなんやかんや家族や恋人のクララ、そしてクララの兄で親友でもあるロータルの助けもあり回復(したように見えていたが・・・)。

ちょうどその頃遺産で引き継いだ別荘での生活を始めることとなったナタナエルたち家族は、そこへ向かう道中クララの求めに応じ塔に登り上から景色を見ることに。

ナタナエルは持っていた望遠鏡を何気なく覗いてみた・・・それはあのコッポラから買った望遠鏡だ。

望遠鏡でクララの姿を見たナタナエルは、豹変し再び理性を失い彼女を投げ落そうとする。

なんとかクララはロータルによって助け出されるが、ナタナエルは「火の環よ、まわれ」と繰り返しながら塔から落ちて死んでしまう(!)

そしてその騒ぎを聞きつけて集まった人ごみの中に、老弁護士コッペリウスの姿があったのだった・・・。

まとめ

「色々あったけど一件落着!めでたしめでたし♪」な結末かと思いきや、ハッピーエンドとは程遠い結末・・・。

ホフマンの評価を押し上げたとされるジークムント・フロイトが称したように「不気味さ」を味わえる作品なのですが、、、不気味さだけでなく、ロマン派ならではの幻想の世界へ誘ってくれるところが乙女ポイントです♡
(ただ怖い、不気味だけだと乙女心はくすぐられないのです。)

ザントマン(Sandmann)とは、ドイツなどヨーロッパ諸国の民間伝承に登場する睡魔。
英語読みでサンドマン(Sandman)、また砂男ともいう。

姿の見えない妖精だが、一般には砂の入った大きな袋を背負った老人の姿であるとされる。

ザントマンが背負っている袋の中には眠気を誘う魔法の砂が詰まっている。
彼は夜更けになると人々の目の中にこの砂を投げ込む。
すると、人々は目が開けられなくなり、眠らずにはいられなくなってしまうという。

古くからドイツでは、夜更かしをする子供に「ザントマンがやってくるぞ」と脅して寝かしつける習慣があった。
〜wikipediaより〜

最後に、バレエ「コッペリア」のあらすじはコチラ♪

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