世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

”村上春樹”については多くの人が書いているので、今さらという感じもしますが・・・今回は、手に取ってみたら、また一つ別の世界に行けるかも?なちょっと不思議なこちらの作品。

なぜだか夢子は、時折ふとこの物語を読み返してみたくなるのです。

高い壁に囲まれ、外界との接触がまるでない街で、そこに住む一角獣たちの頭骨から夢を読んで暮らす〈僕〉の物語、〔世界の終り〕。

老科学者により意識の核に或る思考回路を組み込まれた〈私〉が、その回路に隠された秘密を巡って活躍する〔ハードボイルド・ワンダーランド〕。

静寂な幻想世界と波瀾万丈の冒険活劇の二つの物語が同時進行して織りなす、村上春樹の不思議の国。


村上春樹の作品は、どこにあるかわからない、でもどこかにありそうな世界設定の作品が多いですよね。

そこには、変なところだけ真面目で異常に頑固な主人公だったり、ちょっと変わった話し方をする人とか、料理が得意でチャーミングなヒロインとか、カフカの虫みたいになぜか日常に受け入れられている異質なキャラクターとか、、、何かと奇妙な登場人物がその世界に存在しています。

本作の主人公もそんな「世界」に住んでいます。

この、どこかにありそうで、でも見つからない、、、そんなちょっと不思議な世界観&想像の余地(by赤毛のアン)があるところが夢子的乙女ポイント♪




不思議の国へ行くのに案内役は必要?

ご存知、不思議の国の”アリス”はうさぎを追いかけ「穴」に落ち、不思議な世界に迷い込みますが・・・

本作はと言うと・・・

ピンクのスーツを着た太った若い女性に導かれるままクローゼットの扉の向こうにある真っ暗な「穴」に入り込んだ「計算士の<私>」。

そこには、ごうごうと川が流れ、蛭や「やみくろ」が蠢いています。

なぜ、<私>は穴のなかを進むことになったのか。

穴から出た先には何が待っているのか。

また一方、人知れずその街・・・毛足の長い金色の体毛に覆われた獣が住む街で古い夢を読みながら暮らす「夢読みの<僕>」。

自分の影と切り離された<僕は>その高い壁の街を脱出しようと準備を進めます。

なぜなら「心」がない街だから。

と言うように、「夢読みの<僕>」と「計算士の<私>」の二つの世界(物語)が交互に進んでいく構成となっています。

果たして、<私>と<僕>、二つの世界がどのようにつながっていくのか。

未読の方は、ぜひこの不思議な世界を体験してみてください♪

最後に・・・

いつも物語の背景に音楽が流れているのも村上作品の特徴ではないでしょうか。

本作でも、ボブ・ディランの『激しい雨』がこの作品の余韻を引き取るかのように歌い続けています。

ボブ・ディランは、2016年にノーベル文学賞を受賞したものの受賞式を欠席。

その欠席の場でパティ・スミスがサプライズで歌った素敵な『激しい雨』を聴きながら余韻に浸る夢子でした♪

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