ジョルジュ・サンドというと男装をしてパリの街を闊歩した“男装の麗人”として知られ、また詩人ミュッセやショパンなど多くの芸術家との恋愛でも有名ですよね。
作品よりも人生の方に注目されがちですが、19世紀フランス文学を代表する女流作家の一人。
今回はそのサンドの作品「愛の妖精」です。
作品紹介
【作品名】
愛の妖精 プチット・ファデット(1936年)
※フランス:1847年初版
【作者】
ジョルジュ・サンド(1804-1876)
【あらすじ】
舞台はフランス中部の農村地帯ベリー州.野性の少女ファデットが恋にみちびかれて真の女へと変貌をとげてゆく。
ふたごの兄弟との愛の葛藤を配したこまやかな恋愛描写は,清新な自然描写とあいまってこれをサンド(1804―76)の田園小説中,屈指の秀作としている。主人公は少女時代の作者自身をモデルにしたものという。
https://www.iwanami.co.jp/book/b247955.html
おすすめポイント
①個性的なヒロイン像
身なりを構わず悪態ばかりついている少女ファデットのモデルは少女時代の作者自身なんだそう。
一風変わったヒロイン像が面白い!
②少女の成長記
聡明ながらも、”魔女の孫”と蔑まれ村で嫌われているファデット。
そんな少女が恋を通して美しく成長していく・・・。
ヒロインの変身ぶりと周囲の偏見を覆していく展開にワクワクします!
③細やかな恋愛描写
田園で繰り広げられる清らかで真っすぐな恋愛描写に胸キュンです。
夜の河辺の鬼火シーンはなんとも幻想的!
まとめ
二人の若い男女の恋愛を軸に、当時の農民の考えや生活を映し出しているこの作品、若干 「できすぎな」展開もあるのですが、ホントに「美しくて優しい」物語なのです。
それもそのはず!
この作品が生み出されたのは、フランス革命を経て、多くの血が流された動乱の時代。
「社会的動乱の時代には、温和な物語によって人心を慰めることが芸術の使命である」という友人とのやり取りの中から、サンドが作り出したお話なんだそう。
疲れている時に救いのない暗い話はちょっとね、、、な夢子。
そんな時は、このような作品に触れ、心を慰めたいものです。
若い男女の瑞々しい恋愛模様、周囲の善良な人々や農村の日常・・・サンドが描いた”理想郷”のような世界。
全ての少年少女、また、かつて少年少女だった大人も十分楽しめる一冊だと思います。